周麻酔期看護師は通称PAN(Perianesthesia Nurse)といい、麻酔科医と協働して麻酔科診療に従事する専門的な職業です。しかし、看護師資格のような国家資格や、公的機関や団体が認めた認定資格ではありません。周麻酔期看護師になるためには、周麻酔期看護師養成講座のある大学院で学ぶ必要があります。
そもそも「周麻酔期」とは、手術前・手術中・手術後の期間のことを示す「周術期」という外科系診療科で使用される言葉があり、それと同じように麻酔前・麻酔中・麻酔後の期間のことを「周麻酔期」というのです。日本には今まで麻酔について専門的に補助を行う看護師は存在せず、聖路加看護大学で2010年に周麻酔期看護学修士課程が開かれたのが始まりです。その後、横浜市立大学や信州大学大学院、滋賀歯科大学、奈良県立医科大学、国際医療福祉大学でも同じような教育課程が開講し、高度な麻酔に関する専門知識を持つ看護師の育成が進められています。
大学院へ入学するための要件は、学士を保有していることと、手術室などの急性期領域で3年以上の臨床経験があることの2つが基本となります。大学によっては、この2つは特に必要とされず専門知識とスキルを問われる試験があったり、看護師資格か保健師や助産師の資格を有していて実務経験が5年以上必要であったり、特に規定の記載がないなど、大学院によって要件の違いがあります。キャリアアップを目指したい看護師の方は、周麻酔期看護師について知っておくと今後の参考になるでしょう。